へっぽこ三国志クイズアドベンチャー

『魏延の野望』

第1幕 魏文長、劉玄徳を襄陽に追う

 

場所は中国、時は三国時代。襄陽を流れる漢水のほとりで悠久の大河の流れを眺めて嘆息をつく男の姿があった。この男の名は魏延。字は文長。襄陽の北東、義陽(襄陽と汝南の中間地点)の生まれである。
少年の頃から武芸を磨き、用心棒の生活をして食いつないでいたが、あるとき魏延はこんな噂を耳にした。

「劉玄徳という凄腕が率いる傭兵部隊があるらしい」

魏延 「劉玄徳・・漢室の一門でありながら流浪の生活を送り、最強の傭兵を率いて戦うとはどんな男であろう」

そんなある日、汝南で魏延は運命的な出会いをする。曹操と戦って敗戦転進した劉備軍をたまたま森で見かけたのである。劉備にはひげは無くても長年の傭兵生活で磨かれたワイルドさがあった。長い手、デカい耳と並んで劉備がカリスマと呼ばれる一因であった。さらに、その劉備の両脇を固める関羽・張飛の威圧感はいかほどのものか。

魏延 「素晴らしい・・俺も男に生まれたからにはあのようになりたいものだ」

こうして劉備に一目惚れした魏延。劉備が劉表の用心棒となって荊州に住み着いたので、さっそく劉備の傘下に入ろうとしたが、魏延はもっと鍛錬を積んで、関羽・張飛と並ぶほどの勇名を挙げてから馳せ参じようと考え、襄陽の街で修行に励むのだった。

そんなある日、劉表が死亡し、息子の劉は曹操に降伏してしまう。曹操が攻めてくるとの話を耳にした劉備は驚いて行軍を開始し、襄陽にやってきた。しかし、守備隊長蔡瑁はすでに魂を曹操に売り渡しており、入城しようとする劉備を攻撃する。

劉備 「せめて、私を慕ってついてきた領民だけは中に入れてもらえぬものか」

蔡瑁 「黙れ!曹丞相に逆らう反逆者め!!貴様の率いるものは兵であろうと、民であろうと、一人たりとも入れるものか」

その言葉を聞いて劉備はやむなく江陵に落ち延びようと退却をはじめた。魏延にとっては、劉備の配下になる千載一遇のチャンスである。いや、むしろこの機会を逃したら、次に劉備と会えるのはいつの日になることか。魏延は決心して城門に向かって走り出した。

魏延 「開門!開門!!」

戸惑う門番達。一方、魏延の声を耳にした蔡瑁が刀を抜いて魏延の下に走りよった。


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